令和2年4月から、不支給決定通知書に同封されるようになった書類です。
この書類には、認定方法や認定基準の案内とともに、不支給と決定された理由が書かれています。
不支給決定通知書にも不支給の理由の欄があるのですが、要約すると「非該当だから」としか書かれておらず、請求者が知りたい「どうすれば支給対象となるのか」を知るための手がかりが一切ありません。
納付要件を満たしていない、初診日が不明であるといった場合は、不支給ではなく却下となります。つまり、「非該当」は「不支給」とほぼ同義なのです。
今までは「不支給だから不支給」と言っていたに等しい状態で、もっと詳しい理由を知るためには、1か月近くかけて開示請求で認定調書を取り寄せるしかありませんでした。
本来、行政手続法第8条および第14条により、申請の拒否、不利益処分の理由は告知されなければならないと定められています。
不支給通知は書面ですから、第8条の2、第14条の3にあるとおり、処分の理由も書面により示されなければなりません。
(理由の提示)
第八条 行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。
2 前項本文に規定する処分を書面でするときは、同項の理由は、書面により示さなければならない。(不利益処分の理由の提示)
第十四条 行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。
2 行政庁は、前項ただし書の場合においては、当該名あて人の所在が判明しなくなったときその他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除き、処分後相当の期間内に、同項の理由を示さなければならない。
3 不利益処分を書面でするときは、前二項の理由は、書面により示さなければならない。
行政手続法
この状態はかねてより問題視され続けており、障害年金不支給の取消を求める裁判において、「違法である」との指摘を受け、ようやく令和2年4月からもう少し詳しい情報が記載されるようになりました。
不支給の理由に書かれている内容の例は、以下のようなものがあります。
- 診断書で「社会生活は普通にできる」とされている。
- リワークプログラムに通った後、復職し、規則的な勤務を継続していた。
- 認定日頃に数か月、一般企業で普通に働いていた。
この決定の理由が明示されるようになったことで、不服申立てや再申請のときに、どういった資料を提出すべきなのかといった対策が行えるようになりました。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員 - 社会保険労務士・精神保健福祉士